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古代都市パルミラ

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  『繁栄の謎を解明

シリアにある今日のパルミラは、雄大な廃墟が蜃気楼のように立ち並ぶ遺跡だが、歴史的、考古学的証拠から見て、ローマ帝国の支配下にあった時代には巨大な交易都市だったと考えられている。
  町遺跡

 パルミラ遺跡の調査は100年近く前から行われてきた。だが、不毛なシリア砂漠の真ん中で20万人もの人口を抱えていたこの都市がどのようにして繁栄できたのかという重大な疑問には、いまも答えが出ていない

 かつてパルミラは、アジアの品物をローマに運んだ隊商路に欠かせない中継地のオアシスだった。商人たちがインド産や中国産の絹、銀、香辛料、染料をここで取り引きした。

 ノルウェー、ベルゲン大学の考古学者イェルゲン・クリスティアン・メイエル(Jergen Christian Meyer)氏は、これほどの都市がなぜ維持できたのかを突き止めるため、パルミラの北に接する約100平方キロの範囲で、2008年から4年の予定で調査を開始した。この地域を調査対象に選んだのは、ここが起伏に富む土地で、雨が降るとふだんは乾いている河床に貴重な雨水が集まり、農業の可能性がごくわずかに生じるからだ。
               町遺跡2

 地表の調査と衛星画像から、パルミラの市街から徒歩数日の圏内に20カ所以上の農村の輪郭が残っていることが確認された。これまでに実施されたほかの調査からも、パルミラの西に15前後の集落が確認されている

 決定的な発見として、季節的に訪れる突然の嵐で降った雨を集めて貯める人工の貯水池と水路網の跡が広い範囲で見つかったとメイエル氏は話す。

 この発見からすると、パルミラの周囲では集約的な農業が行われていたようだ。ローマ時代の文献から、栽培されていた可能性が高いのはオリーブ、イチジク、ピスタチオなど。これらの作物は現在のシリアでも一般的に栽培されている。メイエル氏の研究チームは、調査地域の泥の煉瓦を分析し、オオムギの花粉も見つけている。
        町遺跡3

◆自然の恵みか、人間の努力か

 メイエル氏は、パルミラで農業が拡大した原因を気候の変化に求めたくなるかもしれないが、自分としては、かつての農業が人間の創意工夫によるものだったと考えたいと話す。

「古代以降、マクロレベルでは気候に劇的な変化がなかったということで、学者の意見はある程度まとまっている」。

 メイエル氏の試算によると、古代のパルミラの住民は、年間120~150ミリの雨をどうにかして集めて水路に流していたという。

◆経済的な利点

 パルミラは、交易の中心地としては地の利がなかったはずだが、今回の発見で、この古代都市が繁栄していた理由も説明しやすくなる。
           町遺跡4

 アジアからインド洋、ペルシャ湾経由で入ってきたヨーロッパ向けの品物の一部は、ユーフラテス川を遡上し、途中でキャラバンに積み替えられて、シリアのパルミラを経由し、地中海沿岸の港に運ばれた。

 ほかの経路、たとえばユーフラテス川をさらに北上し、現在のトルコに向かう経路や、紅海からナイル川を利用する経路のほうが手間がかからず、早かったと思われるのに、なぜわざわざラクダを使って砂漠を横断したのだろうか

 メイエル氏は、その答えはすべてお金に、そして今回見つかった農場に関係していると指摘する。

 2000年前、この一帯は、西の強大なローマ帝国と東のペルシャ帝国に挟まれて混沌とした地域だった。ユーフラテス川沿いには小さな王国が並び、それぞれが舟運を利用する商人から通行税を徴収していた。

 これに対して、砂漠のキャラバンの中心地を利用すれば、何度も通行税を払う必要がなく、支払いを1回で済ませることができただろう。基本的にそれを可能にしたのが、パルミラ周囲の農地だったとメイエル氏は話す

 この地域の農民は、キャラバン用のラクダやヒツジをパルミラに連れて行く遊牧民と協力し、収穫後の土地で家畜に草を食べさせていたというのが同氏の仮説だ。
                    町遺跡5

 家畜が草を食べるおかげで土地が肥えるという余得もあっただろうとメイエル氏は付け加える。「遊牧民は家畜をつれてやってきてささやかな贈り物を残し、代わりに水を手に入れた」

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2013・7/30 ニュース

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  『シリア政府、反体制派の拠点を制圧と発表

 レバノン・ベイルート(CNN) シリア国営テレビは29日、中部の都市ホムスで反体制派が拠点としていたカルディヤ地区を政府が制圧したと伝えた。約1年にわたってホムスを支配してきた反体制派にとって、戦略的、心理的打撃となる。
             政府軍

カルディヤ地区の制圧は、政府にとってホムス奪還に向けた重要な足がかりとなる。ホムスを奪還すれば、地中海に面した港湾都市タルトゥースから首都ダマスカスに至る交通の要衝を押さえることになり、2年以上続く内戦の重要な転換点となる可能性もある。

国連によれば、シリア内戦による死者は10万人を超えた。
                                    政府軍3

反体制派の「自由シリア軍」は政府の発表についてコメントを避けているが、反体制派は27日、カルディヤ地区で政府軍との大きな衝突があったと伝えていた。活動家は、カルディヤ地区の約50%を政府に制圧されたと話している。
                      政府軍2

「シリア人権監視機構」によれば、シリア政権側にはイランが支援するレバノンのシーア派組織ヒズボラの戦闘員が加わっている。政府軍はレバノンとの国境付近にあるクサイルの町を制圧するなど、ここ数カ月で優勢が目立つ

ホムスはシリアで3番目の都市で、昨年から続く砲撃や空爆のため大きな被害が出ている

漫画家アリ ファルザット

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  『シリアの風刺漫画家

「警察国家の論理に立つシリア」
絵

警察国家の論理に立つ


「大統領の批判はしないように気を付けろ」
 え2

大統領の批判はしないように気を付けろ
例えテレビで演説を見てる時でもね

「~拷問の後も「チーズ(笑って)」~」
 え3

独裁国家の国営メディアが国家の人々への弾圧を隠すために嘘のニュースを流す


「モデルが独裁者の時」
 え4

いくつかのアラブ諸国でメディアを所有する政府がどのように独裁者のポートレイトを描くかについてを発表した


「メディアの進化」
 え5

今のマスメディアが一般の人を携帯で取材している様子を描いている


「メディア注射」
 え6

アラブ諸国の国営メディアがリビアのカダフィ大佐のイメージアップを試みる

国連事務総長が明らかに

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『シリア死者10万人超す

 武力衝突が続くシリア情勢をめぐって、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は25日、衝突が始まって以来の死者が10万人を超えたことを明らかにしました。
       国連事務総長
 「10万人を超える人が死亡し、数百万人が避難を余儀なくされている。この状況を終わらせなければいけない」(国連 潘基文事務総長)

 潘基文事務総長は25日、アメリカのケリー国務長官との面会の前にこのように述べ、アメリカやロシアが主導してスイスでの開催を目指しているシリア情勢に関する国際会議を早期に開催することが重要だと強調しました。
                                          シリア国民連合2

 また、ケリー長官はシリアの反体制派の主要組織「シリア国民連合」のジャルバ議長らと会談し、シリア情勢の対応について協議を行いました。面会の後、シリア国民連合は、ケリー長官に対して反体制派に対する軍事支援を早期に実行するよう求めたことを明らかにしています。
                          シリア国民連合

another voice

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  『シリアのお酒事情


 ブログ「添てん」より        2011・4/7


シリアの多くはイスラム教徒
既に皆さんがご存知のように豚肉食とアルコールが禁止されている
しかし、シリアはキリスト教徒も多いので、飲酒については寛容らしい
(トルコもそうだよね)

ビールやワインを提供するレストランも多いし、お酒を売る店も多い
「まっすく゜な道」はローマ記念門を境にキリスト教徒が住む地区になるので
簡単に手に入るのだ
さすがにイスラム地区だとお酒を売る店は無かったけどね

シリアのお酒で有名なのが「アラク」
トルコの「ラク」、ギリシャの「ウーゾ」と同じ製法で、ぶどうから作る透明なお酒
アニスという香草で香り付けされていて、水や氷を入れると白濁するのが特徴

このお酒を見て、トルコやギリシャとも同じ食文化圏なんだなぁ~と、思った

地ビールといえば 薔薇だ いや、バラダ BARADA

   ビール


写真をよ~く見て欲しい
何か、おかしいところはないか

そう ! ! 泡だっていないのです (  ゚ ▽ ゚ ;)

ノンアルコールビールならぬ、ノン炭酸ビールなんです (=◇=;)
全てのバラダビールがノン炭酸と云うわけではなく、炭酸有りのもある
つまりシリアではビールの品質が安定していないようです

そこで、ある一定のレベルのレストランではバラダビールではなく
お隣の国レバノンのビールを提供しています

        レバノン  ↓
       ビール2


レバノンのビールは品質が安定しているので、当たりハズレがありません
シリアとレバノンはいろんな意味で交流があるようです

ビールに関しては、シリアにいながらレバノンも楽しめちゃいますよ

                                  

シリア難民にサッカーボールを寄贈 

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  『日本サッカー協会(JFA)2013・4/12

 北にトルコ、東にイラク、南にヨルダン、西にレバノン、南西にイスラエルと国境を接し、北西は東地中海に面するシリア。
 2011年からこの国では、政府軍と反体制派による武力衝突が続いています

 国連難民高等弁護官事務所(UNHCR)の発表によると、シリアから国外に逃れた難民は100万人に達し、支援基金が枯渇して支援活動が窮地に陥っているということです。

 この100万人という数字ですが、シリアの人口の5%にあたり、しかも難民の4人に3人は女性と子どもたちだといいます

 FIFA(国際サッカー連盟)は3月の同理事会で200,000ドル分のサッカー用具を寄贈することを決めていますが、日本サッカー協会(JFA)もシリア難民を支援しようと、難民を多く受け入れているヨルダンとレバノン両国のサッカー協会を通じてそれぞれ500個のボールを発送ることを決めました。

     サッカー
 シリアは日本サッカーにとってもアジアの良きライバル国。これまでも各カテゴリーの代表チームがアジアの大会で相見えてきました

 昨年はU-23日本代表がオリンピック予選で対戦。内戦の影響で、シリア代表はホームゲームを国内で開催できず、お隣のヨルダンで開催されましたが、シリア選手は困難な状況にもめげずに果敢に戦い、2-1で日本から勝利をもぎ取りました。
      さっかー2
(2012オリンピック予選
 東日本大震災に見舞われた直後、ある男性が「子どもたちの笑顔に元気づけられる」とテレビのインタビューに答えているシーンを見たことがありますが、男性のコメント通り、不自由な生活の中でも笑顔とたくましさを見せてくれるのが子どもたちです。
                       sakka-.jpg

 祖国で生活できずに不自由な生活を送る人々が、たとえ僅かな時間でも、サッカーによって、笑顔と元気を取り戻してくれたら・・・。一日も早く平和な社会に戻ることを祈らずにはいられません

シリア人の名前

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  『男性名の作り方・名乗らせ方

アラブ人の名前の作り方

アラブ人の名前がどのようにできているかを簡単にまとめてみました。 

シリア人 
基本編~普通のアラブ人の名前を作るには

シリア・レバノンやエジプトなど、社会が部族単位で動いていないような地域のアラブ人は、以下のような形で自分の名前を名乗ります。

 Muhammad Ali Ibrahim
 ムハンマド アリー イブラーヒーム

   ・ムハンマド=本人の名前
   ・アリー=父親の名前
   ・イブラーヒーム=祖父の名前

上の図を見ても判るように、部族意識が強い地域以外に住むアラブ人は通常「自分の名前」+「父親の名前」+「祖父の名前」を組み合わせたフルネームを名乗っています。このタイプの名前を作る場合は、人名リストに載っている名前を3つ組み合わせるだけで済みます。

例えば、漫画や物語でアラブ人のキャラクターを登場させると仮定してみます。そこに兄弟が登場する場合、彼等は連れ子でない限り父親を共有していますから、本人の名前を除いた部分は全部同じになります。たとえば、3人の兄弟がいた場合、フルネームは以下のようになります。

 Muhammad Ali Ibrahim
 ムハンマド アリー イブラーヒーム

 Ahmad Ali Ibrahim
 アフマド アリー イブラーヒーム

 Mahmud Ali Ibrahim
 マフムード アリー イブラーヒーム

この方式で先祖の名前をズラズラと書き連ねることは出来ますが、普通「フルネームを言ってください」と言われた場合は、上の方式で3つの名前を言うことになります。


【フルネームを使わない場合

通常フルネームは使われず、知人の間では本人のファーストネームだけを使います。ファーストネーム以外にも言う必要がある場合は、父親の名前を付け足します。

従って、上の兄弟の場合、自分の名前を名乗るときは、以下のようにします。

 Muhammad Ali
 ムハンマド アリー

 Ahmad Ali
 アフマド アリー

 Mahmud Ali
 マフムード アリー


【敬称について】

アラブ世界には、日本のように苗字を名乗る制度はありません。そのため、最後に来る名前を苗字のようにして「イブラーヒームさん」と呼ぶことはありません。人を呼ぶ場合は、本人の名前で呼びかけます。

職業や地位に基づいた敬称は使われますが、身近かつ対等な立場にある人同士が「さん」に相当する語をつけて呼び合うことはありません。MissやMrに相当する単語はあっても、「さん」に相当する単語はないので、上の人物の場合は「ムハンマド」と呼ばれることになります。
シリア人2
【同じ名前の人が何人もいたら

同じ名前の人がクラスといった同一集団に何人もいる場合は、父親の名前を使って区別します。たとえば、ムハンマドいう名前を持つ学生が3人いるクラスがあったとします。その場合、それぞれは以下のような形でクラスメートから呼ばれることになります。

 Muhammad Ali
 ムハンマド アリー
  →「ムハンマド アリー」もしくは「アリー」

 Muhammad Ahmad
 ムハンマド アフマド
  →「ムハンマド アフマド」もしくは「アフマド」

 Muhammad Ibrahim
 ムハンマド イブラーヒーム
  →「ムハンマド イブラーヒーム」もしくは「イブラーヒーム」
 

はしかの流行

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  『人道援助ニーズ増大

 国境なき医師団(MSF)日本より
                               2013年6月20日

 内戦が続くシリアでは、北部各地ではしかの流行が席巻している。少なくとも7000件の感染が確認され、人道援助ニーズの増大と、2年余り続く内戦による保健医療体制の崩壊を示している。国境なき医師団(MSF)はアレッポ、ラッカ、イドリブの3県で合計7万5000人以上の子どもに予防接種を行った。今回のような流行は当地では過去に例がなく、感染拡大の抑止は急務となっている。
      医師団

<内戦で中止された予防接種

 2011年の紛争発生後、医療従事者・施設が攻撃の標的にされ、多くの人が避難民キャンプやその他の不衛生で過密状態の仮設避難所に逃れたことから、シリアの定期予防接種は広い地域で中止された。
MSFの緊急対応統括責任者のテレサ・サンクリストバルは、「シリアのように二極化した紛争状態で集団予防接種を実施することは非常に困難でが、予防接種と最低限の保健医療は戦傷外科に劣らず、大変重要なのです」と話している。

 今回、はしかの流行が認められてから、北部では少なくとも7000件の感染が発生。死亡率は比較的低水準にとどまっているが、はしかにより子どもは他の感染症にかかりやすくなるため、基礎的な医療が受けられなければ、合併症で命を落とす可能性もある

 国内では病気による死者が増加している。特に該当するのが立場の弱い人びとで、基礎的な保健医療やワクチン接種のような予防策の不足が原因となっている。MSFはシリア北部の5ヵ所の病院とその他の医療活動を通じ、特に子ども、妊婦、高齢者、ぜんそくや高血圧などの慢性疾患患者に対し優先的に援助を提供している。
   ワクチン
 <北部3県で集団予防接種活動を展開

 MSFはアレッポ県都のアレッポ市で1万5000人以上、県下の他地域でさらに2万2000人以上の子どもに予防接種を実施したが、広がる暴力と恐怖で、実施には大変な困難が伴った。空爆や砲撃の標的となりかねないことから、予防接種のために集まる人で行列ができることを避けなければならなかったためだ。

 ラッカ県ではこれまでのところ、県を構成する3郡のうち1郡だけで3万5000人に予防接種を実施した。一部地域しか対象となっていない理由は治安による制約であり、依然、大勢の子どもたちが病気に無防備なままだ。
                              msf.jpg
 イドリブ県では2013年5月に164件のはしか感染が報告され、その数は増加を続けている。MSFは2月に、国内避難民4万人以上が滞在する国境周辺地域で5歳未満児1900人に集団予防接種を行っている。またイドリブ県下の避難民キャンプと周辺の村々で15歳未満の全児童を対象に2回目の集団予防接種を行う予定だ。対象者数はおおよそ1万~3万人とされているが、人口移動の規模を正確に把握することは困難だ。イドリブ地域における、はしかの流行拡大は、戦闘を逃れた避難者の到着が相次いでいるためと推測される。同様の状況がシリア北部の各地で発生している


 MSFはシリア北部の反体制派支配地域で5病院を運営。内戦の各陣営と交渉を続けているが、現在もシリア国内の活動は公認されていない。内戦勃発以来、国内では診療4万6000件、外科処置2481件、分娩介助854件を行っている

「都市化」するシリア難民キャンプ

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  『国連への電気代請求は月5000万円
       キャンプ地
空から見下ろした中東ヨルダンの砂漠の真っただ中に、整然と広がる移動式住宅やテントの「街並み」──内戦状態のシリアから逃れてきた人々が暮らすザータリ難民キャンプは、急速に小さな都市と化しつつある

 この難民キャンプが開設されたのは、わずか1年前。何か月も続く内戦に傷つき、命からがら祖国を脱出してきた大量のシリア難民を保護するという悪夢のような使命に、ヨルダンは直面した。

 現在、このキャンプにはよりどころを無くした11万5000人が暮らす。夜になれば国境の向こう側から砲弾の音が響き渡るが、それでもシリア難民たちはくじけることなく、再び立ち上がって自活していく決意を固めている。

■「楽しきわが家」再生へ

 難民テントの多くは、プラスチックとアルミニウムでできたコンテナ住宅に置き換えられつつある。設置費用は1戸当たり2500ドル(約25万円)。既に1万6500戸が完成し、近く3万戸に達する見込みだ。
      キャンプ地3

「まさしく『楽しきわが家』です」。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の現地責任者、キリアン・クラインシュミット氏は18日、現地視察に訪れたジョン・ケリー米国務長官を上空から案内しながら、英国民謡の題名を口にした。その言葉に皮肉な響きはみじんもなかった

 クラインシュミット氏が語ったのは、ありのままの事実だ。28か月に及んでいるシリア内戦に全く終わりが見えない中、難民キャンプではあきらめて長引くキャンプ生活を受け入れ、崩壊した生活を自ら立て直そうとする住民が増えているのだ。

■根っからの商人たちが築いた新たな暮らし

 ザータリ難民キャンプに暮らす人々の多くは、ヨルダンと国境を接するシリア南部ダルアー県から逃れてきた。シリア軍と反体制派の武力衝突へと激化していったバッシャール・アサド政権に対する2011年3月の蜂起の発端となった地だ。

「ダルアーの人々は、根っからの商人だ。ほとんど何でも取り引きするので驚かされる」と、クラインシュミット氏は報道陣に説明した。

 仮設住宅の前庭は泥よけのためにセメントで固められ、小さいながらも「家の象徴」として噴水まで造ってある家も見られる。商才に長けた難民たちは、キャンプの電気網を「拝借」してキャンプ内のわずかな舗装道路に立ち並ぶ約3000軒の店舗や、580軒の料理店や屋台に電気を引いており、クラインシュミット氏の下に届く電気代は毎月50万ドル(約5000万円)に上る

 これらの通りはパリの大通りにちなんで「シャンゼリゼ」と呼ばれている。難民たちはここで喫茶や買い物を楽しみつつ、仮設住宅に付けるエアコンの値引き交渉さえしている。仮設住宅の多くには既に衛星放送用のパラボラアンテナが取り付けられている。タクシーも10台あり、高値を吹っかけては人々を乗せてキャンプ内を走り回っている。

 取り引きに使われる現金は、難民が持参してきたものもあるが、それよりも湾岸諸国か欧米で働く親戚からの送金が多い。

 キャンプ内で仕事を探して回る人たちも多く、その中には子供たちの姿もある。闇取引が問題になっており、持ち物は何でも売りに出される。コンテナ住宅でさえ「また貸し」されたり、転売されたりと、UNHCRが許可していない方法で使用されている。

「街」には病院が3つ、学校も数か所ある。食料配給所は本部の他にパンのみを配るセンターもあり、1日に計5000個のパンを配給している。サッカー場や、滑り台やブランコのある公園も合わせて5か所ある。「約6万人いる子どもたちを飽きさせないことが大事」だとクラインシュミット氏は言う。だが、学校に通うべき年齢の子ども3万人のうち、授業を再開できているのは5000人だけだ

■難民キャンプではなく「一時的な街」
                                    2
 キャンプ開設当初の数か月は、世界から見放されたと絶望し憤った難民たちが支援職員らに石を投げつけることも少なくなかった。現在も緊迫感は残るが、新たな理解が広がっていると思うとクラインシュミット氏は語る。「私が管理しているのは難民キャンプではなく、一時的な街だ。だから、ここは落ち着きつつある。私たちは対話を始め、将来の展望を描き始めている。完全な絶望から人々を脱け出させる手助けもできている」

 しかし、この考えは、既に人口のかなりの部分をパレスチナ難民が占めているヨルダン政府の方針とはそぐわない。ヨルダンのナーセル・ジュデ外相は「わが国としては、キャンプが閉鎖され、全ての難民がそれぞれの自宅や暮らしに戻ることを祝う日を常に待ち望んでいる」と述べている

 ザータリ難民キャンプだけでも、1日当たりの運営費は約100万ドル(約1億円)に上る。キャンプ地4

シリアの選挙

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  『第10期シリア人民議会選挙(2012年5月)』

概要
2012年5月7日、第10期人民議会の投票が行われた。

 チュニジアやエジプトでの政治変動に触発されるかたちで2011年3月に激化した反体制運動に伴う混乱のなかで実施されたこの選挙は、2011年8月に制定・施行された政党法(第100号)および選挙法(第101号)に基づく初の国政選挙であり、また2012年2月に施行された新憲法のもとで実施された初の国政選挙でもあった。バッシャール・アル=アサド大統領は2012年6月3日の人民議会議事堂の演説で第10期人民議会を「第1期人民議会」と呼んでいるが、この呼称は新憲法のもとで初めて選出された複数政党制に基づく議会であることをアピールしようとする政権の意思を示すものだと言える。

2012年3月15日~3月21日、選挙法第25条に従い、各県の小委員会において立候補者受付。
2012年3月19日、アル=アサド大統領が2012年布告第120号を発し立候補者受付期間を3月28日まで1週間延期。
2012年5月7日、投票日。
2012年5月15日、選挙最高委員会がダマスカスで記者会見を開き、ハルフ・アル=アザーウィー委員長が第10期人        民議会選挙の結果を発表。

 第10期人民議会選挙には、政党法のもとで認可された野党(新党)が人民議会発足後初めて立候補を擁立して選挙戦を戦った。拙稿「第10期人民議会選挙をめぐる「新党」の動き(2012年5月)」で述べた通り、2012年5月の段階で9つの政党が新たに認可された。だが、進歩国民戦線が4月末から5月初めにかけて「国民統一リスト」を発表し、3分の2強の議席の確保をほぼ確実にしたため、約半数の新党は投票日までに選挙への不参加を表明、最後まで選挙戦を戦ったのは、シリア国民青年党、アラブ民主団結党、シリア民主党、国民青年公正成長党の4党にとどまった。

一方、公認申請を行わず反体制組織として活動を継続した国内の政党・政治組織・政治同盟は、民主的諸勢力国民調整諸委員会、シリア国家建設潮流など、その多くが選挙をボイコットしたが、変革解放人民戦線、シリア・クルド人国民イニシアチブは立候補者を擁立した。

またシリア国民評議会など、国外で活動する政党・政治組織・政治同盟はそのすべてが選挙をボイコットした。

なお選挙最高委員会の発表によると、有権者総数は10,118,519人で、うち5,186,957人が投票、投票率は51,26%だった(各政党の獲得議席数、当選者氏名などについては「(5) 政党・政治組織別議席数」、「(6) 第10期シリア人民議会議員一覧」を参照)。しかしKull-nā Shurakāʼ(5月20日付)は、ダマスカス県の信頼できる消息筋の話として、第10期人民議会選挙の投票率が実際は12%にも満たなかったと報じた。

その後5月16日、アル=アサド大統領は2012年布告第169号を発し、第10期人民議会当選者を承認、5月21日には2012年布告第172号を発し、5月24日に第10期人民議会を招集することを決定した。

5月24日に招集された総選挙後初の特別会では、選出された議員が就任宣誓を行ったのち、議長など役員の選挙が行われ、バアス党が擁立した候補者が議長、副議長、事務局長に就任した。
 議長:ムハンマド・ジハード・アッ=ラッハーム(Muḥammad Jihād al-Laḥḥām)。
 副議長:ファフミー・ムハンマド・ハサン(Fahmī Muḥammad Ḥasan)。
 事務局長:アブドゥルムウティー・ムハンマド・マシュラブ(ʻAbd al-Muʻṭī Muḥammad Mashlab)、ハーリド・アル=アッブード(Khālid al-ʻAbbūd)事務局長。
 監査役:マーリヤー・ジャミール・サアーダ(Māriyā Jamīl Saʻāda)、ラーミー・ムハンマド・サーリフ(Rāmī Muḥammad Ṣāliḥ)。

選挙区(県)毎の定数配分

選挙区 総数 A部門
(労働者・農民代表) B部門
(その他の人民諸組織代表)
ダマスカス県 29 10 19
ダマスカス郊外県 19 10 9
ヒムス県 23 11 12
ハマー県 22 13 9
アレッポ市 20 7 13
アレッポ県諸地域 32 17 15
イドリブ県 18 12 6
ラタキア県 17 9 8
タルトゥース県 13 6 7
アッ=ラッカ県 8 4 4
ダイル・アッ=ザウル県 14 8 6
アル=ハサカ県 14 8 6
ダルアー県 10 5 5
アッ=スワイダー県 6 4 2
アル=クナイトラ県 5 3 2
計 250 127 123
(出所) 選挙法(1973年4月14日立法令第26号により制定、1981年10月2日立法令第24号、1986年1月9日立法令第2号、1990年4月12日立法令第4号、1998年8月4日立法令第5号、2007年3月7日立法令第100号により改正)より筆者作成。

各選挙区における各地の投票所数、有権者数、立候補者数

選挙区 投票所数 有権者数 立候補者数
ダマスカス県 791 1,098,635 900人以上
ダマスカス郊外県 641 1,143,979
ヒムス県 627 1,331,556 490
ハマー県 1,000 1,280,051 482
アレッポ市 455 1,200,698 1,322
アレッポ県諸地域 955 2,232,867
イドリブ県 103 1,148,384 171
ラタキア県 817 863,180 665
タルトゥース県 171 670,113 380
アッ=ラッカ県 510 565,428 317
ダイル・アッ=ザウル県 656 973,209 167
アル=ハサカ県 759 1,004,585 367
ダルアー県 223 633,507 126
アッ=スワイダー県 309 339,662 発表されず
アル=クナイトラ県 175カ所(同県からの難民が居住するダマスカス県、ダマスカス郊外県、ダルアー県、アル=クナイトラ市に設置) 302,790 170
(出所) SANA, May 3, 2012をもとに筆者作成。
                                        選挙

政党・政治組織別議席数

政党・政治組織 議席数
進歩国民戦線 アラブ社会主義バアス党 158 180
アラブ社会主義連合党 2
アラブ社会主義者運動アフマド・ムハンマド・アル=アフマド派 2
国民誓約党 1
統一社会主義者党 4
統一社会民主主義党 1
アラブ民主連合党 1
シリア共産党ウィサール・ファルハ・バクダーシュ派 3
シリア共産党ユースフ・ファイサル派 3
シリア民族社会党イサーム・アル=マハーイリー派 5
変革解放人民戦線 人民意思党 1 5
シリア民族社会党インティファーダ派 1
無所属(ないしは不明) 3
シリア・クルド人国民イニシアチブ 1
無所属 64
計 250
           選挙2


人口構成を変える

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  『アサドの民族浄化作戦

 最近よくアサド政権が外国のシーア派に国籍を与えてシリアの人口構成を変えようとしているとの報道を見かけますが、20日付のネット番組の放送で入手した文書がアサドの民族浄化作戦を示していると報じています。
如何なる文書かも全く 判らず、報道の真贋を判断するのは困難ですが取り敢えず。
   2

・アサド政権は制圧した地区で、住民登録を破壊し、イラン、イラク、イエメン、さらにはアフガニスタンからのシーア派戦闘員とその家族の定住を進めている。
                             シリア戦闘員

・アサド政権はアレッポ及びその周辺でも、レバノン、イラク、イランからの戦闘員の定住による、大規模な民族浄化を計画している

・シーア派が多数いる地域では、現在5000名の自由シリア軍に封鎖されている。ここにアサドは500名のイラン兵士、1500名のヒズボッラー兵を集結している。
      5.jpg
・他の地域では200名のヒズボッラー兵士、500名のイラク兵が200名の政府軍とともに集結している。
                       3.jpg

・サファラ地域では5000名の政府軍と合わせて、2000名のヒズボッラーとイラン兵が集結している。
この地域は軍事工場があり、政府軍の備蓄庫があり、なかには化学兵器の貯蔵庫もあり、北部地域で政府軍が使用した化学兵器はここから来たと言われている

・1000名のクルド人PKKメンバーがいる地区では、その多くはシリア人ではない

・多くの観測者は、アサド政権はこれだけの多数の兵員をアレッポと周辺に集結し、近く大攻勢を行い、アレッポ及び周辺を奪還する計画であるが、それと合わせて以前行ったように、スンニ派住民を同地域から追い出して大規模なシーア派の定住計画を進めようとしているとみている。
                                4.jpg

2013・7/19

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  『今日のシリアニュース

 米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は18日の上院軍事委員会の公聴会で、内戦が続くシリアでアサド政権と戦う反体制派を支援するため直接的な軍事力の行使を政府内で検討していることを明らかにした。ただ、あくまで選択肢の一つであるとし、「軍事力を行使するかどうかの決断は選ばれた政府高官、大統領がするものだ」と語った

   画像

 米政府は6月、アサド政権が反体制派に化学兵器を使用したと断定し、反体制派への武器供与に動き出したばかり。米国内には直接的な軍事力行使を求める声もあるが、オバマ大統領は事態を慎重に見定める構えだ

 デンプシー氏は「我々は複数の選択肢を示した」と軍事力の行使も選択肢の一つとして示したことを明らかにしたが、具体的な中身については「私がどのような軍事力を使うべきかについて公の場で意見を表明し、(大統領の)決断に影響を与えるようなことはすべきではない」と明らかにしなかった

 9月末で2年の任期が切れるデンプシー氏はオバマ大統領から再任の指名を受け、同委員会の指名承認の公聴会に臨んだ

                                  画像2

 一方、シリアへの早期の軍事力行使の必要性を訴えてきた同委員会のマケイン上院議員(共和党)は米国が直接的に介入しないことが内戦の泥沼化につながっているのではないかと追及。AP通信によると、マケイン氏は公聴会後、デンプシー氏から十分な答えがあるまで再任の指名承認を阻止する考えを記者団に示したという

シリアをみる

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  『動画でみるシリア

シリアの内戦 政府軍の戦車が、、、。
戦車の火砲がカメラの方に向いた瞬間。恐ろしさを越える瞬間。

ユーチューブより
上をクリックしてください。

2013・7/18

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  『シリア内戦、月に5000人死亡

 国連(UN)は16日、内戦が続くシリアでは月に5000人が死亡しており、1994年のルワンダでの大虐殺以降、最悪の難民危機を生み出していると発表した。

 多数の国連高官が、シリア問題で意見対立が続く国連安全保障理事会に対し、同国の窮境に対応するためより踏み込んだ措置を講じるよう求めた。この内戦はすでに26か月続いており、国連によると死者数は10万人にも上るとされる。

 またアントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、シリアの周辺諸国に逃れた180万人近くが国連に難民登録されており、現在も1日平均約6000人のペースで増え続けていることを明らかにした。「国外へ流出する難民がこれほど恐ろしいペースで急増しているのは、20年前のルワンダ大虐殺以来だ」と話している。ルワンダでは1994年に、フツ人による集団処刑から逃れようと200万人以上が国外へ逃亡した。

 またグテーレス氏は、レバノン・イラク・ヨルダンをはじめとする近隣諸国が難民受け入れの姿勢を示していることで「数十万人の命が救われている」とも述べた。
        zy
                    

「TTP(パキスタン・タリバーン)」

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  『パキスタンのイスラム武装組織「パキスタン・タリバーン(TTP)」

今日2013・7/16のニュース

パキスタンのイスラム武装組織「パキスタン・タリバーン(TTP)」は16日までに、国際テロ組織アルカイダと共に、シリアの反体制派に援軍を送り込んでいることを明らかにした

TTPの幹部はCNNに対し、戦闘部隊の第一陣は既にシリアに到着し、シリア反体制派に協力するための拠点を設置したと語った。「シリアの同胞が必要とするあらゆる支援を提供する」としている。

別のTTP幹部によれば、これまでに120人の戦闘員がシリア入りし、週内にさらに150人の部隊を送り込む予定だという。

戦闘員はシリアにいるアルカイダ幹部の要請を受けて派遣したもので、シリアではアルカイダの指揮下に入るという。

TTP幹部はさらに、地元の支部に対してもシリアに行く意思のある戦闘員をスカウトするよう要請していると説明、多数の若者が志願していると主張した

ただしパキスタン国内にもまだ戦闘員が多数いて、同国内での作戦も継続すると話している


※イスラム武装組織「パキスタン・タリバーン(TTP)」
       タリバン1

 誕生
 ターリバーン側の主張によると、ムハンマド・オマルが20人の同志とともに始めたものだとされている。
またターリバーン隊士がイスラム教の聖書「クルアーン」を学んだ場所は、国境付近の難民キャンプの教員が整っていないムハンマド・オマルの開いた神学校であった
この神学校出身者が、結集時のターリバーン隊士になる。
                              タリバン2
彼らが蜂起したきっかけはムジャヒディーン軍閥が二人の少女を誘拐したことへの抗議活動であった。彼らは無事少女たちを解放し、この出来事から地元住民らから正義の味方としてあつかわれた

発展
 「アフガニスタン紛争 (1989年-2001年)」を参照。タリバン3

 内戦が続くアフガニスタンにおいて、ターリバーンは1994年頃から台頭し始めた。
彼らはマドラサと呼ばれるイスラム神学校の学生たちが中心であり、ターリバーンが快進撃を続け、軍閥を追い散らし、治安を安定させ秩序を回復するようになったので、住民たちは当初ターリバーンを歓迎した
当時、アフガン市民たちは、長年にわたる内戦とそれに伴う無法状態、軍閥たちによる暴行、略奪などにうんざりし、絶望感を抱いていたため、治安を回復するターリバーンの活躍に期待した。
 しかしその後、ターリバーンがイスラム教の戒律を極端に厳格に適用し、服装の規制、音楽や写真の禁止、娯楽の禁止、女子の教育の禁止などを強制していくにしたがって、住民たちはターリバーンに失望するようになった。
 1998年にターリバーンがマザーリシャリーフという町を制圧した際に、住民の大虐殺を行った。
特にハザーラ人を標的に虐殺を行った。これは、ターリバーンがパシュトゥン人からなり、パシュトゥーン民族運動の性格を併せ持つことを示すエピソードとなったと指摘されている
   
      タリバン4

世界遺産~sekaiisan~

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『世界遺産sekaiisan

シリア中部ホムス県にある世界遺産の要塞「クラック・デ・シュバリエから黒煙が立ち上る映像が12日、動画共有サイト「ユーチューブ上に投稿された。
世界遺産1
 ホムスはシリアの内戦で政府軍と反体制派の激戦地となっており、反体制派が投稿したこの画像によれば、クラック・デ・シュバリエは政府軍の空爆を受けたとみられる。画像からは、少なくとも1回の空爆があり、要塞の塔の1つが破壊されたことが分かる。要塞の内部を映した別の動画も投稿されており、空爆で天井に大きな穴が開くなど大きな被害が出ている様子がうかがえる

 反体制派のシリア人権監視団によるとこの空爆は、反体制派がクラック・デ・シュバリエを拠点として、バッシャール・アサド大統領を支えるイスラム教アラウィ派の村クマイリを襲撃し住民を殺害したことへの報復とみられるという。

 クラック・デ・シュバリエはかつて十字軍によって建造された要塞で、国連教育科学文化機関の世界遺産に登録されているが、内戦により甚大な被害を受けたとして前月、「危機遺産」に指定されている。
                       世界遺産2
 「危機遺産

国連教育科学文化機関は、シリア国内にある6つの世界遺産について、2年以上続く内戦により甚大な被害を受けたとして「危機遺産」に指定した

 シリアには、ダマスカス、ボスラ、アレッポの3古代都市と、パルミラの遺跡、クラック・デ・シュバリエとカルエッサラー・エルディンの城、シリア北部の古代村落群の計6つの世界遺産がある

 しかしユネスコの世界遺産委員会は、カンボジア首都プノンペンで開いた会合で、6つ全てを「危機遺産リスト」に登録。文書で「シリアにおける武装紛争状態のため、6つの世界遺産の『顕著な普遍的価値』を確実に保全・保護する条件が失われた」と発表した。          2013年6月
  世界遺産3     世界遺産4

何ができるのか?医療

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  『戦場カメラマン見たシリアの現状

                                  2013/7/12 久保田弘信より
 2年にもおよぶシリア内戦。アサド政権の支配に反対する反政府軍(自由シリア軍)の戦いは、ダマスカスやアレッポなどの都市部だけでなく、地方の小さな村までも戦場に巻き込んだ。今年2月と6月、二度にわたってシリア入りした戦場カメラマン・久保田弘信さんが横浜市立大学で講演し、現地の惨状を学生らに訴えた。彼が目の当たりにしたシリアは、どういうものだったのか

■内戦に巻き込まれた500人の村

 久保田さんがシリア入りするきっかけは、ある看護師の呼びかけだった。「医療物資をジャーナリストの方に運んでほしい」という依頼をうけ、「自分が役に立てるのなら」という気持ちで日本を飛び立った。拠点としていたのは、トルコ国境の町ハタイに近い山間部の小さな村にある診療所だった。

 そもそも、この村は人口500人程度の小さな村。攻撃が地方にも及ぶようになったため、都市部や周辺の村から逃れた人たちが集まってきていた。ここは自由シリア軍の拠点にもなっているため、ときに政府軍のターゲットにもなっているという。
            シリアの現状

シリアで取材活動を行う久保田弘信さん 銃口を突き付けられることもあるという
           シリアの現状2

■幼い子供も攻撃の犠牲に

 到着してから、ひっきりなしに患者が運ばれてきた。

 「たくさんの人たちが、ここに運ばれてくるが、それはケガをした人たちなので、当然ながら亡くなった方は来ない。亡くなられた方を含めると多くの民間人が犠牲になっている。周辺の村では幼い子供もなくなっている。それだけ、シリアがひどい状態だということ」。

 医療を取り巻く環境の悪さは想像を絶している。医師は周辺諸国に逃れたシリア人の医師が二週間交代で対応していた。電気はあるが、ガスはない。ここで対応する人たちの食事は、薪ストーブで作られる。都市部の施設とは異なり、設備などはまるで整っていない

 そもそも、昨年7月まで学校だったところを、診療所として使っているだけの場所。設備はもちろん、医療物資も医師も慢性的に不足していた。

■携帯電話の光を頼りに執刀

 民間人をターゲットとした攻撃が毎日のように続き、患者が次々に搬送されてきた

 医師はすべての患者の対応に追われるため、1日50人の手術を行うことも少なくない。インフラが整っていないため、手術中の停電も珍しいことではないという。数少ない光をかき集め、メスを握り続ける医師が頼りにする光は、ときに携帯電話の乏しい光であることもしばしばだ。

 薬も物資も足りなければ、ケガを負った箇所を洗う水もない。さらには、輸血する血も不足している。ときに医師は、手術を行う前に自分の腕に針を刺し、輸血用の血を確保する。そして、執刀する

■薬よりも武器を支援してほしい

 医師たちが口にする言葉は、やはり支援を求める声が多い。足に重傷を負った患者を救った“医療用の金具”は、実は、周辺で探してきた金属を消毒して加工しただけのものだったりもする

 「とにかく薬や医療物資を支援してほしい」と訴える医師もいれば、過激なものは「薬よりも武器を送ってほしい。地対空ミサイルを支援してほしい」と真剣に話す医師もいる。政府軍の攻撃はヘリ2機で行われることが多いため、地対空ミサイルがあることで、抑止力になるという。実際に、2月に訪れたときは診療所内に武器を持ち込む事はできなかったが、再訪問した6月には自由シリア軍や外国からの義勇兵によって武器が持ち込まれていた。
                            シリアの医師
 久保田さんは言葉を強める。「日本における国際ニュースの中で、シリアの存在はとても扱いが少ない。エジプトやトルコのデモのようなわかりやすさがないためだと思うが、テレビなどでは扱われることが少ない。もし、報道されたとしても、ダマスカスやアレッポなどの都市部の攻撃だけ。僕が見たものもごく一部だが、そのごく一部の状況だけでも、少しでも多くの人の知ってほしい。小さな村の民間人さえもが、攻撃のターゲットにされている事実、医師や患者たちが支援を望む声をもっと届けたい」

■日本の若い世代に期待

 横浜市立大学での講演に集まった学生は100人を超えた。講演後の質疑では、絶えず意見が飛び交った。そのほとんどが女子学生たちだった。

 「自分たち学生に何ができるか?」と問いに対し、久保田さんは「関心を持ってほしい。関心を持つことで、自分で調べたり、仲間と話したりするようになる。そのうち、シリアに行きたいと思うかもしれないし。シリアじゃなくてもトルコやヨルダンの近隣に行くような行動を起こせるようになる」と、若い世代の起こす行動に期待を寄せた

                 シリアを知ろう



シリアの乗り物

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  『セルビスの乗り方講座

 セルビスとは、ミニバスみたいなもので、市内のちょっとした移動にとっても便利な乗り物
         セルビス
 ワゴン車で、白が多い。たくさんのセルビスが町中走り回っています。行き先などの表示がアラビア語だし、外国人にとっては使いにくいけど、乗り方を覚えてしまえばこれほどチープで便利な乗り物はありません。(日本にも導入してほしい程!)私も慣れるまでは苦労したので、これからシリアに行く人のためにセルビスの乗り方を伝授します。基本的に、セルビスは出発点と終点以外にはバス停がないようなもんです。その経路上であればどこからでも乗れ、どこででも降りれます

1.走っているセルビスを停める

 1人の場合、人指し指を立ててセルビスの運転手に見せるように手を出します。2人の場合は指を2本立てます。空席があれば止まってくれるし、なければ「ないよー。」という顔をされ、通過してしまいます。

2.料金を払う

 無事乗れたら、始めにお金を払います。セルビスは、前の方に乗った客が集金係になります。他の乗客にお金を渡せば前の方に回してくれます。セルビスの料金は、行き先に関わらず一律です。ダマスカス市内だと、だいたい3~5シリアポンド(10円くらい)になります。小銭は用意した方がいいですが、万一小銭がなくても100シリアポンドまでなら何とかなります。実際私が100シリアポンド札しかなくてそれを出したら、運転手が車から降りて他のセルビスの運転手に両替してもらってました。ダマスカスではよくある風景です。500シリアポンド札ともなると、乗車拒否されることもあるそうです。

3.目的地で降りる

 降りたい所に近付いたら、「アルヤミーン・ラウサマハト(右に寄って下さい)!」と運転手に言えば、車を停めてくれるので、自分でドアを開けて降ります。「イシャーラ(信号)!」と言えば、次の信号の前で停まってくれます。後は、信号待ちなどで停まっている時に勝手に降りてしまってもオッケーです。

 知らない所に行く時は、乗る前にあらかじめ運転手に行き先を告げておけば、着いた時に教えてくれます。
以上、セルビスの乗り方講座でした~

シリア料理~レシピ~

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  『シリア風餃子

   シリアの餃子
 
■材料(8人分) -皮-

小麦粉 3カップ半
牛乳 半カップ
水 半カップ
塩 少々

■材料(8人分) -ヨーグルトソース-

挽肉 400g(今回は牛挽肉を使いました)
タマネギ 1個

コショウ 少々
マーガリン 大さじ2
プレーンヨーグルト 2キロ(よく売っている500gのパック4個分)
コーンスターチ 大さじ2
水 半カップ
卵 1個
固形スープ 1個
ドライミント 大さじ1~2(お好みで)
                         
■作り方
 
・ボウルに皮の材料を入れて混ぜ、5分ほどよくこねる。 (乾かないようにふきんなどボウルにかけておく)
 
・ヨーグルトはざるなどで漉して(クリーム状になめらかになる)鍋に入れる ・卵1個をといてヨーグルトに入れよく混ぜる。(卵を入れるとヨーグルトが分離 しない)

・塩を少々入れる。

・半カップの水にコーンスターチを溶かして混ぜる

・フライパンにマーガリンをとかし、みじん切りにしたタマネギを炒める

・タマネギが透き通ってきたら挽肉を入れて炒める

・塩・コショウを加える

・もしあればスパイス(シナモン、コショウ、ジンジャー、ナツメグを同じ分量 ずつ 混ぜたもの)を小さじ1加える。

・まな板に小麦粉で打ち粉をし、皮を麺棒でのばし、5mmくらいの厚さにする

・コップなどを使って直径5cmくらいの円形に抜く。

・円形の中央部分を指で多少薄くのばしてさきほどの挽肉を少し入れ、餃子を作る 要領で包む。ただしひだは作らずに、半円形の端と端をくっつけてリング状にする。

・ヨーグルトは弱火~中火にかけて時々かき混ぜる(こがさないように)

・固形スープの素を入れる。

・ヨーグルトが温まったらさきほどのドウを入れる。入れてから20分でできあがる。

・最後にドライミントを入れひと煮立ちしたら火を止める。
 
■ポイント
 
ここで使用するドライミントは日本のスーパーマーケットで売っているものより葉の大きさが細かいです。 
 
 
 
 

2013・7/11

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  『今日のシリア

・10日シリアでは76名が死亡した。大部分がダマスと近郊、アレッポであった。

・10日付、シリア人権団体の言として、アレッポの政府軍支配地域が反政府軍により包囲されていて、最近その包囲が強化されたので、その地域内ではパンの値段も急騰し、住民が飢えに苦しんでいると報じています。
それによると、アレッポ市では1年前から双方の軍の手詰まり状況が続いていて、政府軍が支配している西部地域は反政府軍に包囲されていたが、最近反政府軍がその包囲を強化し、アレッポに至る高速道路で、従来は政府軍に対してのみ攻撃を加えていたのが、最近は無差別に攻撃を加え、そのため食料品の搬入も困難となり、この1週間200万住民が飢えに苦しんでいる
人権団体はこのような反政府軍の戦術を非難している。
ホムスやその他の地域で、住民も含めて水、食料攻めにするのは政府軍という報道が多かったのですが、戦場ということであれば、皆やることは同じなのでしょうね
                 飢え

・政府軍は9日もホムス及び周辺に対する激しい砲撃を続けている。
ホムスでは医療品、食糧等が極端に不足している
                                  救援物資

・反政府軍筋は約束された米国の軍事援助は未だ到着していないと語った。
米国家安全保障筋によると米議会の上下安全保障・情報委員会が米国の武器援助を止めている
    今日のシリア

一族の恥

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  『彼女の気持ち

 以前、イラクが内戦状態の頃、多くのイラク人家族がシリアに難民として、逃れた話をご報告した。そして、その難民たちの何割かが、家族のうちの若い娘が夜の仕事をすることで、生活を維持していたとお伝えした。

 しかし、そのことが同じイラク人の難民のなかで噂になると、その女性は彼女を一家の名誉を傷つけたとして、父親や兄弟によって殺害されたのだ。イスラム世界では今でも、この名誉の殺人が残っているのだ。

 いま、シリアが内戦状態に陥り、多くの難民が周辺国のレバノン、ヨルダン、トルコに流れ込んでいる。これらのシリア人難民が、難民救済委員会によってもたらされる、食料その他は不十分であり、難民たちは何らかの仕事をして、生活費の不足部分をまかなわなければならない。

 そうは言っても、周辺国の全てはそれほど豊かな国ではないし、仕事があるわけでもない。結果的に難民たちは家族の誰かを犠牲にすることによって、日々の生活を維持していかなければならない、ということになる。

 ヨルダンのシリア人難民の状況を、BBCが伝えているが、その内容はおよそ次のようなものだ。18歳未満の若い女性たちが、臨時婚の形で実質的には、売春を強いられているということだ。臨時婚とはイスラム教の一部の学派によって、認められているものであり、便宜的に契約期間だけ結婚が出来るというものであり、その期間が過ぎれば離婚が、容易に成立するようになっている。

 ヨルダンのシリア人難民の場合、スンニー派家族協会という慈善団体が、この臨時婚の実質的仲人役に、なっているようだ。シリア人難民の母親に対し、若い娘を結婚させないかと持ちかけ、湾岸の高齢者と結婚させるということのようだ。

 口聞き役の女性は話を持ちかけた段階で、男性から70ドルを受け取り、結婚が成立すると310ドルを受け取れることに、なっているそうだ。そして結婚時の婚資は、3100ドルが相場な様だ。その臨時婚の期間は1週間といわれている。

 好まれる女性は16歳以下で金髪碧眼、あるいは緑眼であり、肌は白いほど好まれるということだ。

 これらの若いシリア人女性と結婚を希望する男性は、湾岸諸国の50代から80代の男性だということだ。親子ほどのというよりも、爺さんと孫ほどの年の開きがあり、とても普通の心理状態にはなれまい。

 臨時婚で結婚したあと、男性は奴隷のように女性に接し、重労働を強いている場合が多いようだ。それでも1週間で解放されれば、まだましな方なのかもしれない。

 この臨時婚の仲介をする女性に言わせれば、この結婚は契約に基づく正式なものであり、イスラム法的には何等問題はないし、姦通姦淫にも当らないから、この方がいいのだということらしい。

 それは確かにそうであろう。イスラム法ではそうかもしれないが、我々からすればどうしても納得がいかない。若い女性を犠牲にする行為以外の、何ものでもないと思えるのだが。

 戦争と若い女性の犠牲は表裏一体だ、と言うかもしれない。この場合は何がしかの金が家族に渡され、生活できるのだからいいではないか、という人もいるかもしれない。

 先進諸国は経済的に後退しており、こうした若い女性が犠牲になっている話を聞いても、難民への支援を増加することは、あまり期待できまい。シリアの戦火から逃れて、自国を脱出した難民の数は、優に100万人を超えており、支援をきちんとやろうと思えば、巨額の資金が必要になろう。我々には彼女たちのために涙するしかないのだろうか。

 株高と円の下落で沸いている日本の産業界には、こうした悲惨な状況に対する、支援の気持ちは沸かないのだろうかと考えてみるのだが、シリア人難民のヨルダンでの悲劇は、所詮遠い世界の話でしかないのかもしれない。


日時: 2013年05月11日  中東today ブログより

2013・7/9

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  『今日のシリア


エジプト情勢の影響かカタール自体のトップ交替の影響か、現地情報がかなり雑になっている感じが。。。

・7日のシリア各地での死者は64名で、その場所はダマス、アレッポ、ホムス、ハマ、ダラア、イドリブ等であった

・8日ホムスが相変わらず激しい砲撃を受けており、又一部の地域では政府軍とヒズボッラーが自由シリア軍と激しく交戦している。
ホムス内の自由シリア軍は反政府軍からの武器弾薬の支援がなく、軽武装で戦っていると漏らしていいる。
反政府連立の新議長はシリア政府に対して、ラマダン期間中ホムス停戦することを提案した。(ということは反政府幹部から見てもホムスの状況が非常に危ない、ということだろうと思われる)

・反政府軍(どの部隊かは不明)はダマスで新たな反抗作戦を開始したと発表した

映画『灼熱の魂』より

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 『より、シリアを考える

         another voice「ブログChattering Class Diariesより


「灼熱の魂」という内戦期のレバノン(1975-1990)を題材にした映画を見た。この映画は2011年のカナダの映画大賞を総なめにした作品で(アメリカのアカデミー賞の外国語映画部門では惜しくも大賞を逃した)、いきもつかせず130分を過ごした。作品を見てからシリアのことを思った

映画の公式サイトにでているストーリーは 灼熱の魂


初老の中東系カナダ人女性ナワル・マルワンは、ずっと世間に背を向けるようにして生き、実の子である双子の姉弟ジャンヌとシモンにも心を開くことがなかった。そんなどこか普通とは違う母親は、謎めいた遺言と二通の手紙を残してこの世を去った。その二通の手紙は、ジャンヌとシモンが存在すら知らされていなかった兄と父親に宛てられていた。遺言に導かれ、初めて母の祖国の地を踏んだ姉弟は、母の数奇な人生と家族の宿命を探り当てていくのだった…。

主人公のナワル・マルワンはキリスト教徒だが、乗っていたバスがキリスト教民兵が固めるチェックポイントで停車を命じられ、キリスト教徒である彼女以外の乗員・乗客(回教徒)が子供も含めすべて射殺される場面に遭遇する。彼女は回教徒の組織に加担してキリスト教民兵組織のリーダーの暗殺を決行し、キリスト教民兵組織が管理する牢獄につながれることになる。牢獄から開放された彼女を引取りカナダへの移住を手配するのは彼女が加担した回教徒の組織だ
     レバノン映画

映画だけではない。このような宗教の壁だけでは説明できない複雑な関係が現実に存在する。

レバノンが現在の「安定」(と言うよりは「国内各派の間の均衡」といったほうが正しいだろう)に到達するのに15年もかかったように、シリア情勢もまた多数の人々の血を流しながらやがては収束してゆくと思う。
            レバノン地図

ただそのような安定は、少なくとも当初は、個人の様々な体験や感情を塗り込めた上に存在する不安定なものだ。その塗り込められた体験は時として表面に噴出してくる。映画「灼熱の魂」のように表面に噴出したものが子供たちのルーツ探しで終わるなら問題は個人の次元でとどまる。しかし、噴出したものが異なる教義や宗派への憎しみとなって噴出したら…

         シリアはどうなる?                        

                                2012年より

食糧危機

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  『今出来ていないこと・・・

 国連の食糧関係機関であるFAO,WFPの合同報告書は、シリアの食糧事情が益々悪化していることを警告して、戦火が続けば今後12カ月の収穫は極めて低下し、400万人の食糧獲得が困難になるであろうとしている

国際連合食糧農業機関(FAO)の最近ニュースになっている取り組み
      国際連合食糧農業機関(FAO)






中東の窓

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『another voice


長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信する野口 雅昭さんのブログ(中東の窓より)

5日のシリア情勢とりまとめたところ次の通りです。

当面政府軍の攻撃の焦点はホムスですが、同市に対して多数の化学兵器が使用されたとの報道があります。

・5日シリア各地では46名が死亡した。
爆破
・政府軍のホムス旧市街に対する攻撃が激しく続いており、地対地ミサイル、航空機も投入されている(al arabiya net はホムスに対して複数の化学兵器爆弾が投下されたと報じている)

・反政府連立は人道的な援助を同市の住民に即刻行うように、とのアッピールを発した。

・ヒズボッラーと政府軍はホムスに対して容赦のない砲撃を加えており、このため国連の同市住民の安全に対する懸念が増大している。

・ダマス市と周辺でも激しい戦闘、政府軍の砲撃が続いている。
ダマスでは車爆弾が爆発した(2名負傷)
車爆弾

・最も激しい戦闘が続いているのはサイイダ・ザイナブ地区で、そこでは政府軍とヒズボッラーおよびイラクのabu al fadhl al abbas旅団が戦っている(この部隊の名前が出てきたのは初めてと思う。勿論正規軍の旅団規模の部隊のような大きいものではないと思うが)
爆破2
・その他イドリブ、ダラアでも激し戦闘が続いている。

another voice

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  『シリアの現実

 シリア第2の都市アレッポをベースに活動を続ける考古学者、山崎やよいさんのBlog(5月6日)より転載です。

<以下引用>

10日ほど前、「死の通過点」と題するビデオを友人がfbにアップしていた

今、アレッポの町の辻々にはスナイパーが配置されており、町のブロックからブロックへと移動する時、人々はひた走って道を渡る。若者も、女性も、子供も、老人も。

最初は、人々が避難をしているところだと思った。しかし、よく見てみると、人々はナイロン袋をもったり、荷運びの車を押したりで、シリアで普通に見かけた日々の動きがそこにある。ただ、違うのは間近に響く銃声。
   内戦2

ある者は、「早く早く」と連れに呼びかけ、子供は荷車をほっぽり出して、安全な方向に飛び込んで行く。ある者は撃たれ、周囲は彼を建物の陰に引きずり込む。撃たれた人の様子を見ようと駆け寄り、さらに撃たれる人。弾にあたったか、道に座り込む人

このビデオを見た次の日に、トルコの国境の町に数日前に逃れて来た友人と話す機会があった。彼はビデオに写っている地区に住んでいた。ビデオのことを話すと、彼は平然として言った。「ああ、あれ?毎日だよ。用があって町に出るときはいつもあんな感じで通りに出る。」

彼は半年以上前からパスポートを申請していた。しかし発行は遅れに遅れ、さらに旅券事務所への道は命がけだった。アレッポ大学の日本センターで日本語を勉強していたが、この数ヶ月は、何カ所かの「通過点」はクリアできるものの、大学までは「到達する」ことが出来ず、「授業はほとんどサボっちゃったよ」と笑う。

数日前、ようやく発行されたパスポートを手にしてのトルコへの入国は、かなりスムーズに行ったらしい。とにかく無事でよかったねと伝えようとしたとたん、なんと「また明日アレッポに戻るんだ」と言う。
                                        内戦
あまりにも意外で、冗談かと思った。しかし、「向こうで家庭教師をして子供たちに英語を教えてやってたんだけど、まだ全部予定が終わってないんだ。最後まで見てやんないと」と続ける

また、あの「通過点」に戻って行くのか。なぜ

彼と彼の家族は、昨年、アレッポの中でも安全な場所を求めて移動をし続けた。しかしながら、最後に行き着いた場所は、もとの彼らの家であった。もとの彼らの地区であった。彼の家族も一旦トルコに出たが、またアレッポに戻った。
                         内戦3
「トルコにもまた来るさ。だけど、あそこが僕たちの町なんだ。家も幸いなことに、半分潰れたけど、まだ残ってる。

次の日、彼はアレッポに戻って行った。またあの「通過点」にさしかかり、「生」の側へ渡ることを試みているのだろう

2013・7/5 ニュース

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  『近隣国 エジプト


 エジプトのモルシ大統領解任から一夜明けた4日、軍は、モルシ氏を引き続き拘束下に置いた上で、出身母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」幹部の一斉逮捕など徹底した弾圧に乗り出した
                                                      エジプト2
 「モルシ後」の暫定大統領には、軍が指名したアドリ・マンスール最高憲法裁判所長官が正式に就任し、大統領選実施などに当たる暫定政府の準備作業が始まった

 マンスール暫定大統領は4日、最高憲法裁で行われた就任式で、「エジプトの国家制度を維持し、国民の利益を守る」と語った。ロイター通信によると、エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長が暫定首相に有力視されている。マンスール氏は、ムスリム同胞団に対しても「国づくりをともに行いたいなら歓迎する」と呼びかけ、国民融和路線を前面に打ち出した
    エジプト

受け入れに限界

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  『難民受け入れ問題


 多数のシリア難民が母国を離れ、その数は増加の一途を辿っている。難民3

しかし、シリアの隣国は難民に対し国境を開放し続けるべきであり、また、援助国政府は難民支援のためにしっかり支援を行うべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチ難民局長は報告書で述べた

 シリアの隣国であるトルコ、イラク、ヨルダン、レバノン、エジプトの5カ国は、約163万人にのぼるシリア難民に対し、これまでおおむね国境を開放してきた。
                      難民2
 
 しかし、先週来、各国政府の当局者の中から「受け入れの限界に近づいており、間もなく国境を閉鎖する可能性がある」という声が出始めている。
                                   難民
 多数の難民の流入がシリア隣国への圧力となっている現実はある。
しかし、隣国政府当局は、シリア難民の入国を許すとともに合法的な滞在を認めるべきであり、拘禁・閉鎖された難民キャンプへの収容・強制送還などは避けるべきだ。
               難民⑤
 ヒューマン・ライツ・ウォッチ難民局長のビル・フレリックは「長年にわたり、シリアは、紛争から逃げて来たパレスチナ人、レバノン人、イラク人に国境を解放し続けるとともに、難民たちの自由な移動を認めてきた。

 今度は、シリア人が恐ろしい暴力から逃げざるをえない状況におかれている。隣国は、シリア難民に対しても自国の難民が受けたのと同様の対応で迎えるべきである」と語る
                                               難民4
 難民数の増加とともに到着ペースが加速する中で、受入れ国政府は、難民を閉鎖キャンプに収容して安定した法的地位を提供しない方針をとるなど、難民流入を阻止し人数を最小限に抑える方針をとる圧力を感じている

 トルコ外相は「国連が、シリア国内のいわゆる安全地帯に難民キャンプを設立すべきだ」と発言。
しかし、仮にそうした安全地帯が設立されるとしても、そうしたキャンプは、他国への亡命を求めてシリアから逃げて来る人びとを阻止するために使われるべきでない

シリアの食事

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  『紹介

シリアの食事は、アラブの他の国と同様に羊肉の串焼き(ケバブ、カバブ)、ピラフなどがメイン。

羊と鶏を使った料理が多く、どちらかというと牛肉は少ないようです。

代表的な料理にはごはんの上にシチュー状の羊肉をのせ、ヨーグルト・ソースをかけた料理“マンサフ”(MANSAF)、玉ねぎ、オリーブオイル、松の木の実と調味料と共にオーブンで焼いたチキンを厚切りのアラブ・パンの上にのせた“ムサッハン”(MUSAKHAN)、ごはんを添えた肉や魚と野菜のシチュー“マグルーバ”(MAGLOUBA)、そして、もちろん羊肉、マリネ漬けのチキンなどの料理もあります。
マンサフ マンサム  ムサッハン ムハッサム

マグルーバ マグルーバ
   

アラブのパンはホブスと呼ばれ直径20~30cmのもの。

前菜は各種のペーストやスープ、サラダなどがあります。ホブスと前菜だけでお腹が一杯になります。

本格的なアラフ料理の店はレバノン料理が多く、おすすめです

ダマスカスでも少ないながら中華等の店があります。

各地とも生水は飲まないでミネラルウォーターはどこでも売っています。

特に夏場は観光中に脱水症状にならないように水分の補給を忘れないで下さい。コーラやジュース類はどこでも手に入ります。
アルコール類は一部のレストランやバー、ホテルで飲むことができます

シリアの徴兵制度

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『another voice


シリアが、軍事国家であるというが治安を良くしている。

圧倒的な警察権力、武力行使によって犯罪者を取り締まっている。

その上犯罪に対する刑罰が重い。

裏を返せば「自由」という単語とは縁のない国なのである

不穏な動きをする者がいないか常に監視している。

四方を海に囲まれ、国境を持たない日本人は他国からの侵略ということにどうも疎いが、たとえば、お隣の植木が茂りすぎて日陰になるとか、塀を乗り越えて枝が茂っていて、その枝から木の葉が落ちて自分の庭が汚くなったりするとする。

そういうことに無頓着であればいいが、日陰になる部分が唯一洗濯物が干せる場所だったり、庭を見るのがなによりの楽しみとして、庭師を入れて整備しているくらいこだわりをもっていたりするとお隣に対して苦情のひとつも言いたくなってくる。
我慢していられるうちはいいが、だんだん我慢がきかなくなってくることもある。
お隣はお隣で娘が生まれた記念にと植えた木で、嫁に行った娘と木とを重ねて日がな思いにふけっていたとする。
そうなると自分の都合ばかりを考えてしまいがちで、お隣との間に緊張感も生まれる。

中近東などで紛争が絶えないのは、こういう事が国家レベルでおこっているからである。

シリアには徴兵制があり、男子は兵役を義務付けられている。
                                        徴兵制度

兵役を免れることが出来るのは、後継ぎの男子が家庭に一人しかいない場合である。多額のお金を払えば、免れることができる。

兵役に服している人を「アスカリ」といい、警察は「ショルタ」秘密警察は「ムハバラート」という。

シリアの街中には警察官、軍人、秘密警察官と、監視の目がいたるところに光っている。
                                  軍

通常どこの国でも首都というのは治安が悪いものだが、シリアでは首都ダマスカスが一番治安がよい。

石を投げれば秘密警察にあたるといわれるくらい秘密警察はごろごろしているし、街のあちこちでアスカリが小銃を携えて警備しているし、警察官もうろうろしている。おまけにコネ、カネ、密告という裏の顔もある。

江戸時代の隣組制度も真っ青で、うわさになるのも速いし、ひとたび悪いうわさが立つと、一族の社会的な存続さえ危なくなるようだ。連帯責任が重い分、家族の絆はかたい。

外国人の監視は特に厳しいようだ。

これはスパイ活動を阻止するためである

四方を他国に囲まれ、特にイスラエルとは緊張状態にあるシリアにとって、スパイほど恐ろしいものはないのである。国家の存亡がかかっているからだ。

長期滞在の外国人には、どこにいくにも秘密警察がマークしているらしい。

秘密警察といっても日本の私服警官とは違い、職業を他にもっている普通の人だから誰が秘密警察なのかは見当がつかないが、いるのは事実である。

ただ、気をつけなければならないのはシリアには言論の自由というものはない

大統領の悪口や政治批判でもしようものなら即刻、拉致、監禁される。
悪口言うべからず、批判するべからず、といったとこで、「イスラエル」という単語さえタブーだった。

イスラエルの建国を未だに認めていないシリア人も大勢いるのである。
                                       イスラエル

シリア人の多くは、日本の正確な位置を知らない。

ひどい人になると日本は中国の一部だと思っている人もいる。

まぁ、日本人だってシリアの正確な位置を知らない人が多いのだからおあいこなのだが。

ある時、何の話からだったか忘れたが、日本は何処だと聞かれて地図を見せた。

日本の位置を示した後、シリアの位置の話になった時、シリア人の視線が止まった。

私の持っていた地図のイスラエルという文字に反応したようだ。

私の手から地図をもぎ取るやいなや、イスラエルという文字をぐちゃぐちゃと消し、勝手にパレスチナと書き換えてしまった。

「ここはパレスチナの土地でイスラエルなんかじゃない」と延々一時間くらい訴え続けたのである。

シリアで暮らす心得として、政治に対してや中東問題について決して触れてはいけないといわれていたが、イスラエルを指示するような行動をとると、本当に命がなくなるかも知れないと思った。

軍に関係ない一般市民でさえ、激しい感情をあらわにするのだから。
                 アサド

危険を避けるには、現地の状況を把握し、無益な争いは極力避ける。

これは私がシリアで学んだことのひとつだろう。
                                         


                              富山だより 2008 より

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