2013・9/11
『ニュース』
米大統領がシリア問題で演説、「外交努力を優先」
バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は10日夜、ロシアが提案したシリアの化学兵器を国際管理するための計画について、米国によるシリアへの軍事介入が避けられたと判断するのは時期尚早との見解を示した一方、当面は外交努力を優先するとの考えを明らかにした。
米首都ワシントン(Washington D.C.)にあるホワイトハウス(White House)のイーストルーム(East Room)から国民に向けテレビ演説を行ったオバマ大統領は、米政府は現在、ロシアが提示した計画を具体化するための作業を進めていると説明。「この計画が成功するのかはまだ判断できない。(シリアとの)合意がいかなる内容になろうとも、アサド政権がその合意を順守していることを検証しなくてはならない」と述べた。
大統領はまた、「これまでアフガニスタンとイランでといった高い代償を伴う国外での紛争への関与で、米国が疲弊していることは分かっている」としながら、新たな戦いを始めることよりも終わらせることに強い関心を持っていると述べた。しかしその一方で、米国が行動しなければ、国際法に反する化学兵器の使用が再発することになるだろうとの見解も示した。
オバマ大統領はさらに、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領や英仏などの同盟国と協力して外交による解決を目指すと述べ、軍事行動を承認する決議案の採決を延期するよう米議会に要請したことも明らかにした。
他方、化学兵器が使用された8月21日の攻撃についての国連調査団の報告書が発表されるまでは軍事行動は行わないと確約した。
円、100円台前半=一時1カ月半ぶりの安値〔NY外為〕(10日)
10日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、対シリア軍事介入への懸念の後退を受けたリスク志向回復の反動から売られ、一時1ドル=100円台に下落した。午後5時現在は100円33~43銭と、前日同時刻(99円52~62銭)比81銭の円安・ドル高。
シリアのアサド政権はこの日、同政権が保有する化学兵器を国際管理下に置くとしたロシアの提案を受け入れることを表明した。オバマ米大統領は先に同提案を評価する考えを示しており、その内容を成文化した国連安全保障理事会の決議案採択を目指す方針を決めた。このため、市場では、目先の地政学的リスクがやや後退したとの見方から、安全資産としての円を手放し、ドルを買う流れが加速した。また、中国の鉱工業生産や小売売上高など経済の安定化を示唆する統計が相次いだこともあり、米長期金利が上昇。円売り・ドル買いを後押ししたもよう。円は一時100円47銭と7月下旬以来約1カ月半ぶりの安値を付けた。