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『シリアの近未来』
朝日新聞で中東アフリカ編局長の石合力氏が、最近のシリア情勢を報じていた。
(以下の書き込みは、記事を省略し、ピックアップしたものである。)
「アラブの春」で始まった民主化要求デモから泥沼の内戦へとなり、2年を超すシリア紛争の出口が見えない。
問題は、民主化要求からの反体制派の軍事攻勢の背後にイスラム過激派武装勢力「ヌスラム戦線」がいることだ。彼らがもたらすのは民主化でなく「シリアのアルカイダ化」だ。
もしアサド政権が倒れれば、その先に来るのは民主的な政権でなく「シリアのアルカイダ化」で、現在の反体制派同志の内戦になるだろう。
欧米もアサド退陣はとりあえず避け、ヌスラム戦線と反体制派を切り離したいだろう。
さらに、アサド政権(シーア派)は、「ヌスラム軍(スンニ過激派)」対策に盟友イランとの関係が深い「シーア派組織ヒズボラ」の民兵も投入している。
そうなると、シリア内戦は民主化を求める「『政権軍』対『自由シリア軍』」の戦い、と「『ヌスラム過激組織軍』対『ヒズボラ過激組織』の戦い、と「四つ巴」となっている。後者は宗派対立だ。
内戦の最終目的が大混乱する。
「ヌスラム戦線(スンニ派)」はレバノンへの戦線拡大を狙っているという。その大義名分はヒズボラへの報復だが、本音は最初から、レバノンへの攻略だ。
シリアの内戦がレバノンまで巻き込むことになる。レバノンに逃れた40万人超のシリア難民が再び路頭に迷うことになる。
「アラブの春」から始まったシリアの民主化は変な方向に向かっている。
反体制派の国民連合の新議長に就任したサブラ氏は、まず、シリアからのヒズボラの撤退を求めたが、ヒズボラが要求に耳を傾ける保証はない。