難民危機
『難民支援』
シリア難民支援活動が、資金不足のため、レバノンに避難しているシリア難民への最低限の援助活動が打ち切りになる可能性が出ています。
「援助計画は整い、人員は配備されたにも拘わらず、資金が枯渇しています。このままだと新たな避難民の食糧や飲み水、通学、医療の確保は不可能です。1か月後には、食糧配給がストップします」
レバノンに避難するシリア難民は40万人以上。毎日約3000人が新たに難民登録されています。数千人の難民は、社会復帰のために、受け入れ地域の住宅改修に従事し、収入を得ています。しかし、44軒の改修計画は、資金不足で手つかずのままです。
援助資金の大半は、医療費にあてられ、そのうち85%が専門医療に充てられ、これも今後削減せざるをえません。現在1万1000人以上が健康診断や予防接種などを受け、3000人がさらに専門医療(Secondary Health Care) を受けています。
また水や保健衛生分野へ資金が向けられないと、下痢やA型肝炎、皮膚病の発症率が高くなります。疾病の増加する夏を前に、5月ぐらいからこれらの分野のプロジェクトを開始できないと致命的です。
教育分野でも、約3万人のシリア難民の子どもたちが、レバノンの公立学校に登録され、奨学金を受けていますが、子どもたちが現地の学校へ適合するためのカウンセリングも必要です。難民の半分以上を占める子どもたちへの支援も窮地に立っています。
一方、ヨルダンに避難しているシリア難民のうち、内戦が続いているシリアへ帰る人々は増加しています。毎日平均300人が国境を越えて、ヨルダン国境の近くのダラア県にある村に戻っています。この県は、戦闘地帯のもかかわらず、家族で戻って行く帰還民もいるため、彼らの安全を憂慮します。
シリアへ戻る理由は様々で、一部国境付近の村の治安が回復していることもあり、財産を守る、あるいはその持ち出し、残っていた家族との再会に加え、避難地域へ家族を連れてくるためなどです。
毎日平均2000人がヨルダンに避難しており、負傷している人も少なくありません。自発的にシリアへ戻った人は、ヨルダンに避難してきた人数の1%未満です。
帰還する人の数は比較的少ないですが、非常に危惧しています。「食糧や燃料、電気が不足し、様々なサービスが制限されている地域に戻ることを心配しています。治安状況は不安定で、大砲や砲撃が村に打ち込まれたという報告もあります」
ヨルダンにいるシリア難民の数は、今月には50万人を超えると予測され、シリア国内の状況が悪化している現在さらに増えると考えられています。
■シリア難民の国別内訳
ヨルダン 44万235人
レバノン 42万4141人
トルコ 29万1996人
イラク 13万2693人
エジプト 5万361人
北アフリカ 9930人
計:134万9356人(2013年4月19日付)