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世論を盛り上げ、国際政治にプレッシャーをかけたい。

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  『ニュース』

<シリア難民>日本人男性がヨルダンで支援

「何よりも暴力の連鎖を止めるのが大事」と訴える田村さん
 終結の糸口すら見えない内戦により、膨大なペースで増え続けるシリア難民。その窮状を見かね、東京での会社勤めを辞めて隣国のヨルダンに移り住み、支援に奮闘する日本人がいる。国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員としてシリアに赴いた経験のある田村雅文さん(33)。「難民はあまりに多く、支援は『ざるに水』。暴力の連鎖を止めるのが最優先だ」と訴える。【河津啓介】

 「どんな理念を掲げても、暴力で子どもたちに未来が残せるとは思えない」。昨年7月からヨルダンの首都アンマンで暮らす田村さんは同年12月の夜、シリアから避難してきた「兄弟同然」の友人からそう聞かされた。

 この友人は避難の途中、放置された死体を小学生の娘に見せないよう苦心していた。田村さんに「この思いはマサが外国人だから話せる」と語り、内戦停止を口にすれば周囲に「アサド(大統領)が有利になるだけ」と非難されかねないと打ち明けたという。

 田村さんは大学卒業後の2005~07年、青年海外協力隊員としてシリアに赴いた。環境教育活動に従事し、「よそ者を受け入れるホスピタリティー」に魅了された。帰国後、会社員になっても現地や在日のシリア人と絆を育んだ。

 しかし11年3月にシリアの混乱が始まると「親しい人が苦しむ姿に、自分も戦争を体験している気持ちになった」。約1年後に退社、シリア駐在経験のある日本人仲間と支援団体「サダーカ」(事務局・横浜市)を設立した。サダーカとはアラビア語で「友情」の意味。昨年7月からアンマンで団体職員として働きながら、妻子と暮らす。日本側の仲間と連携し、避難先で困窮するシリア人に生活資金や物資を提供している。

 現地で痛感するのは人道支援の限界。国連難民高等弁務官事務所によると、ヨルダンには50万人以上のシリア難民が避難し、今も日々2000人のペースで増えている。「とにかく、きりがない。支援する方もしんどいし、シリア人にとっても十分ではない。誰もハッピーになっていない」

 避難の長期化で支援ニーズも衣食住だけでなく雇用、教育など幅広くなっている。国際機関やNGOの支援は量も質も追いつかない。イスラム教徒は互助意識が強いが、周辺国の負担は限界に近い。支援仲間のあるヨルダン人は田村さんに嘆いた。「もう疲れた。我々の生活までおかしくなってしまう」。難民急増で賃貸物件の相場が上がり、ヨルダン人が「仕事を奪われた」と不満を抱く。難民流入が周辺国に新たな火種を生んでいる。

 それでも、田村さんたちを突き動かすのは「平和を諦めない」という信念だ。「世論を盛り上げ、国際政治にプレッシャーをかけたい。シリア人が伝えられない思いを発信する責任と義務が我々にはある。」

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