鑑賞の手引き 用語
『シャビハ』
シリアでの反政府運動が起きたころからシャビハという名前が出ている。アサド大統領の私兵集団、民兵、右翼組織、ならず者集団といろいろマスコミでは書いているが、実態は不明で、規模も、その活動費の流れも、政権内部の位置づけも不明。はっきりと写真が公開された事もないと思う。今回、首都ダマスカスで「シャビハ」が反政府民間人を強引に拉致する様子のビデオというのがYOUTUBE映像で流れた。見れば完全に私服で、恐らくアサド支持派を装い市民に紛れ込み、抗議する反アサド側市民を片っ端から暴行しながら車に詰め込んでいる。ヘルメット姿の警官らしき者も手伝っているから暴行は認知されているのだろう。
西側マスコミでは「 pro-Assad militia :アサド私兵、民兵」と書くので、制服でも着た集団かと想像していたが、これを見る限り公認された私服暴力集団で、警察でも軍隊でもない。
シリアの市民のブログでも、この集団は何をするかわからないと相当恐れていた。政府側治安部隊が街から姿を一時的に消しても、これでは何の意味も無い。アラブ監視団もこの集団の存在は知っているはずだが、一度も言及していない。政府側は、一度は刑務所の民間人を釈放したが、まだ相当な人数が秘密の場所に監禁されているという。
この、弾圧、殺戮、拉致、拷問を止めないアサド独裁政権と、市民側反政府側が、和平協議で平静を取り戻せるとはとても思えない。