2013・5/9
『ニュース』(朝日新聞記事より)
内戦が続くシリア情勢でアサド政権、反体制派双方が参加する国際会議が今月中にも開かれる見通しになった。米ロを含む関係主要国は昨年6月に「移行政府」の樹立を目指すジュネーブ合意を結んだが、樹立に向けた国際会議が具体化したのは初めてとなる。
米ロがこの時期に折り合った背景には、
①反体制派と呼応しているアルカイダ系組織ヌスラ戦線が影響力を増すなか、武力で政権を打倒すれば、「シリア のアルカイダ化」という米ロ双方にとって望ましくない結果を招く。
②政権、反体制派双方による化学兵器使用疑惑が出るなか、政治的な解決によって、武装闘争を沈静化させる必要 がある。
③反体制派の分裂が続くなか、政権側を排除した形での新政権の受け皿づくりには時間がかかる。
④100万人を超す難民の流出が続けばヨルダン、レバノンなど周辺国を含む地域全体が不安定化する。
といった理由が挙げられる。
シリアと敵対関係にあるイスラエルはこれまでシリアへの直接的な介入に慎重だったが、5月5日、首都ダマスカス近郊にある科学研究施設を空爆した。
アサド政権は、国内の一部反体制派を政権に取り込んだうえで、海外を拠点とする反体制派の代表組織シリア国民連合や武装組織自由シリア軍を「テロリスト」とみなし、武力で徹底的に弾圧。
反体制派もアサド氏の退陣、市民殺害にかかわった政権幹部との対話拒否を掲げている。
会議実現に向けて、双方が対話可能な人物の参加を米ロがどう促すかがカギとなる。