シリアの教育
『シリアの学校』
☆1942年設立の由緒ある私立学校
シリアの教育制度は6・3・3制で、小学校6年間が義務教育です。また、イスラム教徒が80%を占めているため、イスラムの教えにのっとり、男女共学の高校はありません。
ダマスカス市内のダール・アッサラーム校は、1942年に設立された由緒ある私立の学校です。男女共学の幼稚園と児童部、女子生徒だけの中・高等部があり、高等部の生徒総数は420人。1年生2クラス、2年生3クラスで、3年生は理系と文系に分かれるため5クラスあります。3年になると卒業試験と大学入学試験を兼ねたバカロレアに備えます。
授業は土曜~木曜日で金曜日が休み。午前8時から午後1時30分までで、日曜日は12時30分に終わります。
17科目のうち、「宗教」の授業はクラス単位でなく、イスラム教徒とキリスト教徒別に行われ、また、この科目はバカロレアの必須科目です。
生徒は全員が自宅通学で、送迎のスクールバスが生徒の家を巡回します。校則では緑色の制服の着用や、髪を結ぶことが決められていますが、規則に反しない程度にズボンの形を変えたり、髪形を工夫する生徒もいるようです。
☆音楽とファッションが話題の中心
放課後、生徒は家に帰って家族とともに昼食をとります。アラブの習慣でほとんどの商店がお昼から午後5時頃まで閉店しているので、生徒も夕方まで家族との団らんを楽しんだり、テレビを見て過ごします。その後は友達の家へ遊びに行ったり、スポーツやウインドー・ショッピングを楽しんでいます。ただし進学校であるため、3年生はバカロレアの準備のために予備校に通 ったり、家庭教師についている生徒が少なくありません。長期休暇は夏休みが6月中旬から9月中旬までの約3ヵ月あり、プールや海に泳ぎに行ったり、キャンプに参加しています。
生徒の話題の中心は音楽とファッション。音楽はシリアやエジプトの歌手が人気を集めています。ファッションではクロウディア・シェファーやシンディ・クロフォードなどトップモデルのことや欧米で流行している服装や髪形が関心を集めています。
シリア人は大変親日的で、第2次世界大戦後の日本の経済成長や日本人の勤勉さ、自動車など工業技術の高さが知れ渡っています。先生の中には、日本の成功の秘訣を授業で取り上げる人もいるそうです。
現在、シリアの内戦が子供の教育や健康に影を落とし、北部アレッポでは6%しか学校に通えない状態になっている。