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「シリアの声 №1」

(山崎やよいさんのブログから引用
山崎やよいさんは、20年以上、シリア第2の都市アレッポをベースに活躍されている考古学者である。
シリアで20年以上暮らし、シリア人の旦那さんと結婚し、シリアで子育てをし、シリア人社会の中で生きてきたである。だからこそ、マスメディアで生きるジャーナリストとしての視点でもなく、シリアに生まれたシリア人とはまた違った形での「当事者」である、山崎やよいさんの視点から見るシリア情勢はとても興味深いものがある。
2013年4月3日記事)


シリア国旗
                             

シリアの友人たちは、皆、限界に来ている。精神的にも、物質的にも。 
昨日の朝、FBを開けると、教え子のAからメッセージが来ていた。彼は家族のいるイドリブのアリーハに戻れず、数ヶ月をアレッポにある親戚の家で居候として過ごしていたが、メッセージから察するに、ようやく自宅にもどったようである。

お元気ですかと、型通りの挨拶のあと、イドリブの大学で、ギリシア・ローマの考古学を教えることになったと書いてきた。紀元前3千年紀の古代エブラ文書で修論を書いた彼にしてみれば全くの専門外である。

「他の先生たちはみんな国外に逃げてしまったために、こんな教科を教えることになってしまいました」

Aは、自分の専門領域の専門家のいるイタリアへの留学を希望していたが、奨学金がとれず、今は宙ぶらりんの状態になっている。
彼は、それでも一縷の希望を持ってパスポートを更新した。しかし、有効期限は1年しか与えられなかったらしい。

「来年の4月いっぱいでパスポートの期限は切れます。僕はまだ兵役に行っていないので。」
つまり、なにも手だてがないと一年後には、政府軍に入らねばならないのだ。

彼は続ける。「先生、イタリアの留学に関してはすごく手数をかけてしまいました。本当に、本当に申し訳ありませんでした。でも先生だけが頼りだったんです」

ここまで書いたとき、彼は感情を押さえ切れなくなったようである。

「だけど、今シリアでの生活はもう不可能になり始めました。何でもいい、なにか手だてはないのでしょうか?皿洗いでも、掃除夫でも、どんなことでもして働きます。もう父の年金では、文字通り食べることもままならなくなっています。物価は去年の3倍以上になっている。近頃は、お腹がすいたままで寝ることがよくあります。先生、ごめんなさい。こんなことを書いて。でも、誰かにこの苦しみをシェアしてほしいんです。」

「外国で勉強したい。奨学金がだめならば、働きながら勉強する。世界中のどの国でもいいから、シリアから遠い所に行きたい。」

この言葉をどう捉えればいいのか?彼は意気地なしなのか?彼の言っていることは「弱音」なのか? 

この状況下、ある者は自由シリア軍に入り、ある者は国外へ避難し、あるいはそれを余儀なくされ、難民となり・・。全てが、あまりに悲惨である。

そして、さらにそこには、シリアの変わり果てた国内で、彼のように、蜘蛛の巣に絡まった獲物のように、身動きのとれなった若者たちが存在する。
                                                  』

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